——ゾンビ好きが作り上げた『ゾンビゲーム』の世界。
作品の没入感を高める要素として、欠かせないのが美術だ。
今作『ゾンビゲーム』では、美術監督としてサブチャンネルにも度々登場するクリエイティブ人材・野上飛翼がその手腕を振るった。
野上は大のゾンビ好きであり、作品作りにおいて岩田の壁打ち相手にもなっていた。
DAI 2 MAGAZINE Vol.7でも、美術担当として作中の細かなギミックのこだわりが掲載されているが、そのほかにも到底記事には収まりきらない数々のこだわりを語ってくれていた。
今回、季刊誌には収まりきらなかった特殊メイクや造形と野上のゾンビ愛についてをここで紹介しよう。
リアリティを底上げするメイク
『ゾンビゲーム』のメイクは、徹底的なこだわりと創造性に満ちている。メイクチームは特殊造形のプロ・杉本氏を中心に構成され、作品のリアリティを大きく底上げした。
今作のメイクで最も苦労したのは、メイクのリアリティと役者の安全性、そして銃を扱うにあたってのコンプライアンスの両立だった。

おびただしい数のゾンビたち
「役者さんのOKや、サバゲー界隈のコンプライアンスへの考慮と、メイクとして“できる・できない”の間で、ずっと板挟みでしたね」そう語る野上は、この世界観と安全性の両立に頭を悩ませていたという。
ゾンビの造形における苦悩については、DAI 2 MAGAZINE Vol.7『企画の裏側|岩田の頭の中』にて言及しているため、是非合わせて読んで欲しい。
余談だが、このゾンビマスクは手軽につけ外しができるわけではないようで、メイクを終えたあとのゾンビが休憩中にマスク越しに喫煙をする姿はかなりシュールだったようだ。
「(撮影中)ゾンビマスクが外せないので、必死にタバコを吸うゾンビがかなりシュールでしたね」と現場を振り返る。

マスクの口元の開きはわずかなため、喫煙はもちろん水分補給にも苦労しそうだ。
メイクのこだわりは、ゾンビだけにとどまらない。
ヒロイン・アイナが所属する第1部隊のメイクにも、細かな工夫が施されている。
中でも印象的なのが、登場時にモニタリングルームのだいにメンバーたちを驚かせた、隊長・赤眞氏のメイクだ。
ゾンビに噛まれ、ウイルスに感染した状態での登場となったが、細かな血管の1本1本に至るまで丁寧に書き込まれている。

あまりのリアルさに作中の飯野も思わず感心。
実際のシーンでは暗転も多く、細部までは見えにくい。それでも、こうした細かな作り込みの積み重ねが、作品全体のリアリティを底支えしているのだ。
ゾンビ好きを自称する男のゾンビへのこだわり
自他共に認めるゾンビ好きの野上。
『ラスベガス人生逆転生活2』の編集中、だいにメンバーと津田沼の居酒屋で「次はバイオだね」という話題が出た際、「僕、ゾンビめっちゃ好きです」と打ち明けたのをきっかけに話が盛り上がり、今作では岩田の世界観づくりにおける壁打ち相手も務めることになったという。
そうした背景もあり、今作ではゾンビ好きだからこその解像度の高い研究資料やポスター、美術設定が数多く生み出された。
ゾンビ映画に登場する、どこか胡散臭い秘密の研究所。表向きは普通の製薬会社だったはずが、うっかり生み出してしまった生物兵器が、会社の運命どころか世界の運命まで変えてしまう——。
そんなゾンビウイルスがもたらすディストピア的な世界観を軸に、美術全体が組み立てられていった。

資料の1枚1枚にもゾンビ好きならではの細かなこだわりが詰まっている
「ゾンビの世界ってディストピアじゃないですか。こういう状況になったら、俺はどうするんだろう?っていう妄想が好きなんです」
そう語る野上のゾンビ作品への愛は、『ゾンビゲーム』の随所に反映されている。
しかし一方で、撮影期間中はあまりにも過酷だったこともあり、ゾンビのことを考えすぎた結果、「嫌いになりかけた」とも振り返る。
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没入型コンテンツとして制作された『ゾンビゲーム』は、派手な演出やギミックだけで成立している作品ではない。
その裏側には、安全性と世界観を両立させるための試行錯誤や細部にまで妥協しない世界観へのこだわりの積み重ねがあった。
本記事で紹介した内容は、インタビューの中で語られたものの、誌面の都合上、DAI 2 MAGAZINE Vol.7 には掲載しきれなかったエピソードの一部だ。
もし本作の世界観や制作の裏側に惹かれたなら、ぜひマガジン本編にも手を伸ばしてほしい。
そこには、『ゾンビゲーム』という作品が生まれるまでの、さらに深い物語が詰まっている。
今回のVol.7を含むDAI 2 MAGAZINEのバックナンバーは上映会物販にて購入可能だ。