企画・構成・脚本。
だいにぐるーぷを作り上げる男、岩田涼太。
そんな彼が視聴者として感動し、インスピレーションを受け、そしてクリエイターとして嫉妬する作品はあるのだろうか?
そんな質問に対して、岩田が挙げた作品は以下の3つであった。
1. 水曜日のダウンタウン 『名探偵津田ドッキリ』
2. ジェームズ・キャメロン 『アバター』
3. ディスカバリーチャンネル 『覆面ビリオネア』
数々の名作を手掛け我々に衝撃を与える岩田が、これらの作品にどのような嫉妬の感情、さらには尊敬の思いを抱くのか。
この記事を通して紐解いていこうと思う。
3作品の魅力ー
ー挙げて頂いた作品に対して、どんなところに嫉妬しましたか?
岩田:水曜日のダウンタウンの『名探偵津田ドッキリ』から行くと、僕も視聴者として見て純粋にすごく面白かったっていうのもあるんです。けど僕らがやってる『樹海村』とか、『冤罪』みたいなああいう洗脳型のドッキリとよく似ていて。1人に対して長時間その世界にいざなう、みたいな。
だいにぐるーぷの洗脳型のドッキリ企画「樹海村」と「冤罪」
岩田:しかもそれに問題を解決しないと終わらないっていう脱出ゲーム的な要素が加わっていて最後のゴールもしっかり見えてて、これは本当に僕も思いつけたんじゃないかっていう悔しさがありますね。
岩田:でももし「だいに」でやるとしたら、多分演出の仕方がかなり違ってたなと思いますね。「だいに」の場合って樹海村、冤罪もそうだけど、水曜日のダウンタウンのようなメタっぽいことを一切言わず、本人目線でストーリーを追体験する、みたいな要素があるので、近いものを行ったとしてもだいにだったら全然違う感じになってたと思いますね。
岩田:類似するものを制作するとパクリみたいになってしまうためもうできないけれど、「魔王を倒すまでRPGの世界から抜け出せないドッキリ」というのは提案してみたいですね。
岩田:RPGの世界に行って村の中からとにかく魔王を倒さないとみたいなのは面白そうだなと思って。この記事を藤井健太郎さん(「水曜日のダウンタウン」演出)が見てくれて、僕に声が掛からないかなって思ってます(笑)。
ー『アバター』についてはいかがですか。
岩田:とにかくあの世界観の作り込み方がすごいなっていうのがやっぱりあります。僕の中でエンターテイメントって、一番重要な要素は何かって聞かれたら「世界観」って答えるぐらい世界観をすごい大事にしてて。映画に関わらずいろんな分野、何を作るにしてもエンターテイメントに世界観っていうのはすごく重要だと思っていて。
岩田:だから、世界観を惑星単位から作り出してるってことにすごさを覚えますね。しかもそれが、タイタニックを作った監督だからすごいっていうのもあって。いろんな作品を作っていく中で 「その系統も作れるのかい」みたいな。そこでもう嫉妬というか完全尊敬、ジェームズ・キャメロンに関しては尊敬が勝ちます。「すごいな」って思いますね。
「タイタニック」や「アバター」の監督を務めた『ジェームズ・キャメロン』
岩田:あと一番驚いたのが、視聴者側としては主人公が人間だから人間目線で見ていくわけじゃないですか。これが2になると主人公が完全に向こうの種族。人間から向こうの種族にもう完全に移行して戻れなくなってて。
岩田:この2を見た人間全員が人間の愚かさをすごい感じるように作られていて。戦争とか、争いとか、そういうものに対するメッセージになっていて、その伝え方のすごさを感じますね。
ー「だいに」でも、もっと深い世界観の作品を作りたいと思ったことは?
岩田:個人的にはすごくあるんです。だけどそれを「だいに」でやっていいのかどうかっていうのはちょっと足踏みしてるというか。「だいにぐるーぷ」ってやっぱりあの5人が居ての「だいにぐるーぷ」っていうのもあるし。
岩田: 個人的にはそういう世界観のあるものを作りたいとかは思うけど、「だいにぐるーぷ」とそれを無理やり紐付けちゃっていいのかな?みたいなのは、ちょっと悩んでるっていうのはありますね。自分のやりたいことと「だいにぐるーぷ」でやるべきことみたいなものは、結構ぶつかるときはありますね。
岩田:あとは「これはだいにでやるべきじゃないな」って、しまっておいたアイディアとかやりたいことが今後ちょこちょこ 「これはだいにでもいけるんじゃないか」みたいな感じで出てくる可能性はありそうだなって思ってます。
岩田:例えば直近だとして『Not Found』はすごく自分がやりたかったことだし、そこから前に振り返っていくと『冤罪』とか、『樹海村』とか『バトロワ』も好きでした。『Not Found』とか、『冤罪』とかみたいに「これ出したらどういう反応になるんだろう」みたいな、自分自身がすごいわくわくしてるものは何となく1年に1本出せたらいいなって思ってて。
岩田:残りはちゃんと当てなきゃいけないときに安定した企画を出して…とか、バランスをとったりとかしてるっていう感じなんで、自分がわくわくする企画を出す頻度は今後増やしたいなとは思ってますね。
ー最後に『覆面ビリオネア』についてはいかがでしょうか。
岩田:『覆面ビリオネア』に関しては正直、億万長者チャレンジにすごく感動したというよりは、本当におこがましいけど勝手にライバルだと思っています。割と色々嫉妬してます。本当に「だいにぐるーぷ」の人しか知らないし外部でほとんど言ってないんだけど、ずっと意識し続けてきました。
岩田:色々やっている中で、あくまでリアリティーショーであるっていうことがめちゃくちゃ重要で。「だいにぐるーぷ」って「リアリティーショー×バラエティー」みたいなのが1個テーマであって、単にただのバラエティーだとちょっと面白くないんですよ。
「心霊生活×同棲生活」の軸で行われた『1週間心霊スポット生活 第2弾』
岩田:例えば『1週間心霊スポット生活』って、心霊スポットで1週間生活したら人はどうなってしまうのかっていう、社会実験的なところが一番根本にあって。だからバラエティーっぽい要素とそのリアリティショーのリアリティの部分がちゃんと合わさって1本の企画になるんです。
岩田:『無人島』も、当時は無人島ってまだあんまりYouTuberが行ってなくて。テレビで行ったのが『ディスカバリーチャンネル』とあとは『黄金伝説』とかがコンテンツとしてあって、ここに勝つにはどうしたらいいのかみたいな話をしてました。
岩田:『ディスカバリーチャンネル』があれだけサバイバルに特化してやっててそのスキルに勝てるわけもないから、俺らは何もない無人島にこのサル6匹を放ったときにどんな文明が生まれていくのか、どういう争いが起きるのか、そこの人体実験じゃないですけどそれをグループに分けてやったらどういうことが起きていくんだろうねみたいな感じでしたね。
無人島生活で登場することとなった『タバコ経済』
ー他のYouTube作品などはどう思われますか?
岩田:正直YouTubeの動画のことも考えたんだけど、YouTuberに嫉妬することはやっぱないですね。作品に嫉妬することはないな。「だいに」が1番面白いしね。嫉妬しようがないですよ。まず、目指してるものが違いますしね。
ー最後に、この先の「だいにぐるーぷ」が目指す作品作りについて教えて下さい。
岩田:難しいんだけど元々根本にある考え方としては、やっぱり「だいにぐるーぷ」って遊びが原点にあって、これをいかに自分たちでもっと面白くやるか、そしてそれを見てくれている人たちがいて。俺らもやってて楽しいし、見てる人もそれを楽しんでくれていて、それが活動になってると。これがすごく尊い関係性になっていて。
岩田:今自分たちが考えてるのって例えば「1億円あったらどんな遊びができるんだろう」みたいな。「中学の同級生たちで1億円何か企画を作ってくださいって言われたらどんなものを作るんだろうか」とかを考えているとわくわくが止まらないみたいなのがあって。
中学校から続く友人達による『だいにぐるーぷ』
岩田:だから今の「だいに」の形をいかに大きくできるかっていう感じかなと思いますね。純粋に全国の映画館で自分たちの動画を上映するとか、上映会で沢山の人が来てくれて「次の企画、何やるんだろう」って話題になったりとか、そのぐらいまで行けたらすごい楽しいなっていうのは思っててそれが「だいに」の目標としてやっぱりあります。
岩田:それとは別に岩田個人のやりたいことみたいなものも割と今いっぱいあって、それをどれぐらい「だいに」でやるのかっていうのはなんか日々考えながら、バランスをとってるみたいな感じですかね。
クリエイターとして、リーダーとして、彼自身が進んでいく先を常に見据え、根本にある考えを忘れずに活動を行う彼が衝撃を受けた作品たちは、どれも「だいにぐるーぷ」 としての活動に繋がっていた。
今後も彼がまた大きな衝撃を受ける作品と出会った時、それは我々も彼から再び衝撃を受ける合図に成り得るかもしれない。
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